オートオルロジュリーと天文学の古くからの結びつきを象徴するムーンフェイズ。ヴァシュロン・コンスタンタンでは高級時計製造の伝統に基づき、この機構を搭載したタイムピースの開発・制作を行っています。
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ムーンフェイズは新月、上弦、満月、下弦といった月相を文字盤上に表示する機構です。時間に換算すると29日と12時間45分という月の満ち欠けのサイクルを、このためだけに取りつけられた歯車で再現しています。その誤差は月が1周するごとにわずか57秒、1日あたりに換算すると2秒未満に抑えることができます。ヴァシュロン・コンスタンタンのムーンフェイズの時計は、高精度ムーンフェイズでは122年に1度だけ、一般的なムーンフェイズは3年ごとに調整が必要です。
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時の経過を目で愉しむ
この複雑機構は、太陽、月、星座の動きを理解したいという人間の願いにより誕生しました。日時計から時計の針で時間を知ることができるようになった時代。時計師たちは月周期の表示の基礎となる新しい技術をすでに用いていました。新月に始まり、日を追うごとに輝きを増し、満月までいくと欠けてゆくという絶え間ない月のサイクルは、世界の様々な宗教の儀式から現代の給料日にいたるまで人間の活動を決定づけてきたのです。
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先人たちとのつながりの象徴
デジタル時計の無機質な数字とは対照的に、ムーンフェイズの時計では月の移動に合わせ、時計に浮かぶ月が移動することにより時の経過を表現しています。月が姿を変える時計を身につけることで、空を見上げてきた先人たちや何世紀にも渡る時計師や職人たちとの繋がりを感じることさえできるのです。
複雑機構による精緻な予測
絶え間なくその姿を変えつつも、太古の昔から日々の生活にずっと寄り添ってきた月は、何世紀にもわたり私たち人間を魅了する存在です。
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懐中時計の誕生と、それに続くムーンフェイズ機構を搭載した懐中時計の登場で、人々は月の満ち欠けをより正確に観察できるようになりました。あらゆるタイムピースと同様、ムーンフェイズもまた時計師たちの長年にわたる技術革新の賜物とよべるでしょう。29.5日という月周期にあわせ、59歯の歯車が24時間ごとに1歯ずつ動くことで、2つの月が描かれたディスクが回転し、その日の月相を確認することができます。
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厳密な月の満ち欠けの周期は29.53日です。時計職人たちは実際の月の動きと文字盤上の月周期の誤差を限りなく小さくするため、135歯の歯車を開発。こうして122年にたった1度だけ調整が必要な高精度ムーンフェイズ機構が誕生しました。ひ孫からさらに後世の子孫たちはムーンフェイズの調整をしながら、あなたから受け継いだものに代々思いを馳せることでしょう。
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過去、現在、そして未来へ
美しさを描き出すムーンフェイズは、現代の生活においても、月がいかに重要かを思い出させてくれます。潮の満ち引きを決めるのは、太陽ではなく月です。その引力により寄せては返す波のように、私たち人間もこの変化に順応していく必要があります。ムーンフェイズ機構を備えたタイムピースは、手元を彩る装飾品という枠を超え、実際の月周期を知ることができる実用的なツールでもあるのです。
月のすべて
ムーンフェイズは、私たちが時間と月が周回する空間にいる、時計の仕組みでいうところの歯車のような存在にすぎないということを思い出させてくれます。